人と人とをつなぐもの。
自分との絆を深めるもの。
新しい可能性を生みだすもの。
それが、つながりの泉である関係性というものが、私たち人間を惹きつけてやまない理由だと、私は思っています。
私には、周囲の人の評価、社会生活のなかでの自分の位置づけを探しつづけ、その結果、自分を見失い、自信を喪失していた時期があります。
なにかを新しく学ぶにも、それは、本当は、自分がどう思われたいのか、その動機から私はなにかを学ぼうとしていた時期がありました。
自分がそれを、好きか、嫌いか、本当にそれを尊重するのか、しないのか、自分がなにを大切にしたいのかを問いかけないまま、私の人生は進んでいきました。
それは、私の人生ではないような気がしていました。
そんななか、私は2007年頃、ナーバス・ブレークダウンに陥りました。
それは、私のそれまでの人生で築き上げていた虚像が、私が許容できる臨界点を超えてしまったために起こったのだと、いまでは理解しています。
私が自分を取り戻すきっかけとなったのは、私が自分のことを知りたくて、自分のことを癒そうと思って、自分の可能性をひらきたいと思って、自分自身との関係性、そして、自分と人との関係性を理解しようとしたことでした。
私が自分の状態をいまのレベルまで回復することができたのには、いまから思うと、おおきく分けて、3つのステップがあったことに気がつきました。
1つ目は、自分の状態を生み出しているのは、ほかでもない、私自身であることに気がついたこと。
ここで大切にしていたことは、そんな自分の状態、それまでの人生をつくった自分を、生まれも育ちも、自分を構成するあらゆる要素をひっくるめて、ただ、なにも考えずに、受けいれることでした。
そこが、出発点となりました。
2つ目は、自分の状態を整え、自分のあり方を、自分にとって自然で、心地よく、洗練されたものへと回復していったこと。
セルフセラピーや、セルフヒーリング、セルフコーチングといった、自分を回復するために役立つことを学び、自分のために活用していきました。
ここで大切にしていたことは、自分を回復するための、自分にあったスタイルを、自分の感性、自分なりの価値観、自分の考えで発見していくことでした。
人からすすめてもらうのであれば、自分と感覚、価値観、考え方が近いと思う人のアドバイスを受けるのがいいということもわかりました。
自分自身との関わりを見直すということは、サラッと書きましたが、自分自身に関する膨大な量の情報へアクセスすることでもあり、自分のひっかかりに気づくことでもあり、ときには大変しんどくなることもありました。
そんなプロセスでの最大の気づきは、関係性をよりよくする、洗練する、心地よいものにするための出発点は、なんといっても、自分自身との関係性である、ということでした。
ですから、関係性を紐解いていくには、まずは、自分自身の状態を整えていくことが大切だと、私は思っています。
変化のなかにあるときには、それまでには経験したことがなかったことや、できれば避けたいと思っていたことに直面することがたびたびあります。
避けようとすることは、動物的な側面の人間の性質から来ていると思いますが、そこをあえて意図的に避けないで過ごし、自分を許容するあり方でそこにたんたんと向き合うと、変化が起こることがわかりました。
そんななかで私は、それまでの自分を受けいれ、人が変化するときに経験しがちな、独特のつらさ、しんどさを受け止めている自分のことを、最高にねぎらいました。
やがて、自分らしさとか、自分の輪郭とか、自分本来の存在感が、自然とにじみ出るようになりました。
そして3つ目は、自分の状態をある程度回復できたら、自分をさらに好転させていくこと、人との関係性の質を高めていくために、自分の状態をいい状態に保つことでした。
それができるようになると、たとえ関わりある人があまりいい状態になくても、私はその人に影響されることが少なくなり、また、その人にとっての好ましい影響力を発揮することができるようになる、ということもわかりました。
自分の状態を、エネルギー高く、流れがあり、気持ちよいものにできると、あまり好ましくない関係性のなかにあっても、その関係性の質を、自分のあり方次第で好転させていくことができるようになり、好循環な、洗練された、しかも、自然な感覚で、変化させていくこともできるようになってきました。
もちろん、いつも私自身が完璧な状態、心地よい状態を維持できるわけではありませんが、私自身のことについては、かなりの程度、自分で状態を管理することができるようになりました。
私がとても疲れいるときは、意図して引きこもります。自分自身を回復すること、癒すことに徹するためです。
こうして私は、自分自身を少しずつ、時間をかけてですが、自分を好ましい状態へと変化させることができるようになってきました。
この3つのステップで自分を癒し、変化させることができたのは、つながりの泉である、~ 関係性 ~を、自分なりに理解しようとあきらめなかったことが、私にとってはとてもおおきかったと思っています。
今日ここに書いたことは、Self Mastery(自分を知ること、自分を極めていくこと)へのPath(人生)の入り口であると、私は思っています。